旅の始まりは故郷の街角
曲題は「ラメント・メキシカーノ」訳すと「悲哀のメキシコ野郎たち」って感じ。
メキシコ革命前夜、メキシコ人の多くは大農園で、雇われ農夫として働くしかなかった。貧しい生活の上、農園主から莫大な借金を背負わされるお決まりのコース。革命軍であっても政府軍であっても徴兵された農夫は、自分の妻をソルダデーラ(従軍婦)として連れて行かなければならなかった。よぼよぼヘロヘロの軍隊の後を、明日をも知れぬ運命を嘆きながら、妻たちがその後を追う。大国アメリカと境を接する、悲しみに満ちたメキシコの歴史。そりゃいまだって、日々大変なことには変わりない。
でも。なんだろう、この嘆きの歴史の中にあっても、決して希望を失わないメキシコの明るさは。街角で演奏するのは、野球帽をかぶったアルトロと愉快な仲間たち。紅一点のオリビアのやさぐれっぷりといい、楽器ひいてるオッサンたちの人の良さ加減といい、どこにでもいそうなのに、ここでしかできない音がある。通りかかるおんぼろトラックの音でさえ、ここでは立派なパートの一つだ。その辺の木に引っ掛けておいた、ウインドウチャイム鳴らすとこなんか、芸の細かさもほとほと泣ける。・・・哀愁漂う男たちの夜空に、ふと希望のような美しい流れ星がひとつ。
みんなで演奏する。そして皆で歌い、ドへたくそなコーラスをする。でもそんなことは関係ない。お客を巻き込んで重なり合うこころとこころ。思わずこぼれる笑顔。なんか明日もがんばるぞ!って、気持ちになれる、私の魂の故郷メキシコの街角の一風景でした。
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